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つれづれscene31:昭和の万葉びと
2008-01-16 Wed 21:04
 平成に入って20年も経つと、昭和という響きはどこか遠い郷愁を帯びて感じられるもの。昭和中期、高度経済成長の真っ只中に生まれ育った僕にとって、昭和はとてもヴァイタリティーに溢れた魅力ある時代でした。子供ながらに、本当にそう思っていましたし、今でもその思いは同じです。新幹線に高速道路、ふたつのオリンピック(東京と札幌)、さらには大阪万博と敗戦国日本が”戦後”にピリオドを打とうとした時代が、まさに僕にとっての昭和でした。無論、軍国主義に傾いた不幸な時代、何もかもが灰燼に帰し、全てが枯渇していた苦しい時代も確かに昭和だったのですが・・・。
 前置きが長くなってしまいました。そんな僕の知る昭和を、まさにその時代を映すCDを買ったのでご紹介いたしましょう。最近、様々なコンピレーションアルバムが発売されていますが、これこそ、まさに最強の昭和中期以降の日本歌謡史と言えるのでは・・・。
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 作詞家、阿久悠さんの作品集「人間万葉歌」です。昨年8月に逝去された稀代の天才作詞家の作品を集めたアルバムです。阿久悠さんが手掛けられた作品は5000曲にものぼるとされ、その中の珠玉の108曲が5枚のCDに収められています。なぜか、人間の煩悩の数と同じ108です。そのジャンルは演歌からアイドル歌謡、フォーク、ギャグソングにアニメ主題歌など多様です。まさに「万葉」です。
 万葉集といえばご承知のとおり、7~8世紀にかけて編纂されたという現存するわが国最古の歌集で、天皇、貴族の宮廷人から役人、防人や庶民までのあらゆる階級・身分の人間が詠んだ歌、4500首が収められています。阿久悠さんの場合はたったひとり。42年間で5000曲ですよ。まさに「万葉=よろずのことば」で昭和から平成という時代を彩られたわけですね。今、そのCDを聴きながらこの文章を書いていますが、僕の生きた昭和がスピーカーを通して、今に蘇っています。紅白歌合戦のトリを飾る壮大なメロディー、誰もが熱狂したアイドルの歌声、それらはすべて阿久悠さんの言葉で、詩で魂が込められているのです。
 「歌というのは不幸の、ちょい手前のね、切ない部分をどう書けるか、ということが僕は一番大切なことだと思うんです」と阿久悠さんが以前、テレビで語っておられたとか・・・。「不幸の手前」にひたすら共感したあの頃、そして、その「切なさ」を感じられることに「幸せ」な今。昭和と平成が同居する不思議な心地よさとでも言いましょうか・・・。
 万葉集の歌を大別すると、雑歌(宮廷の行事や神事、または自然を詠んだ歌)、相聞歌(男女感の恋愛を詠んだ歌)、そして挽歌(柩を挽く時、つまり人の死を詠んだ歌)の3つになると、かつて習いました。万葉の多くの歌に詠まれた無常観。「人の世は常ではないこと」に対する、怒りや悲しみ、絶望感を万葉びとは歌で表現しています。天才作詞家・阿久悠さんの世(命)も、常(永遠)ではありませんでした。昭和の万葉びと、阿久悠さんがご自分に贈った挽歌はどんな詩(うた)だったのでしょう。
 
 
  




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