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つれづれscene44:阪急そば
2008-01-31 Thu 22:41
 昨日はこのブログの更新ができず残念でした。昨夜宿泊した東京ドームホテルのLANではこのFC2ブログの管理ページに入れず、エアエッジによる通信を試みたものの、地上33階ではPHSの微弱な回線は役に立たたなかったのがお休みの理由です。決して、怠けた訳ではないことをここで強調させて頂きたく・・・。まずは、昨夜の”欠席”届けから・・。

 さて、今回は以前から是非書いてみたかった、「食」について。僕は美食家ではありません。その飲食店についた星の数には全く興味もなく、TVや雑誌で紹介される”今話題の”的な煽りにもまったく興味が湧きません。「食」に対する拘りがほとんどないといってもいいでしょう。拘りがあるとすれば、それは極度の偏食から来る”好き嫌い”です。今でも絶対、人参は食べません。食べられません。極限状態に置かれても、おそらく口には入れない(入らない)のではないでしょうか。

 そんな偏食家でアンチグルメの僕が大好きなスポットがあります。”立ち喰いそば”です。東京に行けば、羽田空港の15番スポット横でそばをすすり、新橋駅では「あずみ野」の暖簾を思わずくぐってしまいます。他の地方に行っても、”立ち喰いそば”屋を必ず探します。そばやうどんでしばしばその好みが分かれ、時には論争にさえ発展する”出汁の東西”について、僕は全く問いません。醤油も、鰹も、昆布も、いずれをベースにした出汁でもOKです。

 僕にとっての”立ち喰いそば”の原点は、阪急電車の十三(じゅうそう)駅構内の”阪急そば”。関西の私鉄駅構内にできた初めての”立ち喰いそば”屋さんだそうです。創業40年以上の歴史を誇る”阪急そば”は、その開業以来、駅構内にいとも芳しい香りを放ち、乗降客の空腹中枢をただひたすら刺激し続けています。僕の幼少のみぎり、幾度も母親に”阪急そば”での摂食を懇願したのですが、その返答はいつも「よそで食べたほうが美味しいし、家に帰ったらつくってあげるから・・・」。終には受け入れられなかったのです。

 中学になって、母親からの束縛から解き放たれ、行動範囲が広がってくればこっちのもの。さっそく念願の”阪急そば”に。そこですすった、たぬきそばの美味しかったこと。母親の「うちでつくったほうが美味しい」と言った言葉が嘘であると判明した瞬間でした。安価なそばを短時間でかき込む!なんとも素晴らしい食文化ではありませんか。”立ち喰いそば”・・・。

 阪急電車の構内もしくは駅近辺にあるから”阪急そば”。わかりやすいですね。関西独特のストレート(安直)な表現は、他の沿線の”立ち喰いそば”の名称にも見られます。阪神尼崎駅にある”阪神そば”、南海電車構内の”南海そば”、山陽電車の”山陽そば”、神戸高速鉄道の”高速そば”など、「そのままやん!」と突っ込みたくなるような名前のそば屋さんが存在します。だから、最初にできた”阪急そば”は凄いんですね。そのネーミングの手法は関西私鉄各社のお手本になったわけですから・・・。まさにパイオニアですね。東京の私鉄はどうなんでしょうね。”京急そば”や”京王そば”・・・・。そんな屋号じゃないんだろうな、きっと・・・。

 今日横浜で食べた絶品、鴨なんばとカレーそばに触発されて、ちょっと「食」を語ってみたくなったのですが。その内容が”立ち喰いそば”とは・・・。グルメエッセイ第1弾、テーマはなんと、「阪急そば」。失礼いたしました。
 


 

 


 
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つれづれscene43:困ったものです!
2008-01-29 Tue 23:55
 困ったものです。これでは、昨日のブログで書いた「全員集合」にはならないじゃないですか!今日のオリックス・バファローズの球団事務所は”大揺れ”でした。そりゃ、そうでしょう。入団するはずだった外国人投手が他球団と契約を交わしたという情報が舞い込んできたのですから・・・。
 
 背番号も、神戸での住まいも決まり、さらにはポスター、パンフレット、メンバー表など球団制作物にもその選手は刷り込まれ、あとは来日を待つだけでした。現場を預かる首脳陣達の構想にも大きな狂いが生じるはずです。そういえば、昨日の写真撮影も欠席でしたね。

 オリックス球団が進めていた交渉とその過程について僕は知る由もありませんし、他球団が獲得に至った順序や手段についても同様です。契約はどうなっていたのでしょう?「何故?」「どうなってるの?」と、うろたえるしか術はありません。

 午後から夜にかけては「大前ちゃん、どういうこと?」のたぐいの電話が絶えず、周囲も何が起こったのか俄かには理解できない様子。ホント、どうなるのでしょう・・・。明日、パシフィック野球連盟を介して、当該球団の話し合いが持たれるとのこと、成り行きに注目です。

 キャンプ直前のこの時期に勃発した”不測の事態”。このことがチームにとっての”不足の事態”にならなければいいのですが・・・。困ったものです!




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つれづれscene42:全員集合!
2008-01-28 Mon 23:59
 この冬、雨の日が多くありませんか?冬の阪神地域は瀬戸内海性の気候に準じるため降水量が少ないのが普通ですが、12月から1月にかけてよく降りますね。近くの道路工事の工期も延び延びになっているようで、工事の看板に記されている工事期日が、当初の12月25日から2月に書き換えられて、この調子なら3月まで再延長されそうな勢いです。ガソリンに掛けられている今話題の税金が、雨の影響で余分に使われてしまうのでしょうか・・・。
 
 さて、今日の神戸スカイマークスタジアム、一塁側ベンチからのアングルです。アンツーカーがぬかるんでいるのは、雨のせいではなく、朝に降りた霜が解けたためだとか・・。冬のこのスタジアムは寒いんです。3月のオープン戦が雪でコールドゲームになったこともあるほどです。(雪でCold Gameはシャレみたいですが、コールドは”Called”。審判の宣言(=Call)によって終わる試合を指しています。蛇足ながら・・。) 

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 今日、このスタジアムで何があったかというと、オリックス・バファローズの監督、コーチ、選手の写真撮影です。例年、キャンプ前の荷物出し(=キャンプ地に、ユニフォームや道具、着替えなどの荷物をまとめて送るプロ野球界恒例の行事。選手達よりも一足先に、まずは荷物がキャンプ地に旅立つのです。これが荷物出し。なぜか、多くのキャディバッグも運ばれてゆきます。これで選手達は手荷物ひとつで1ヶ月の長旅に出発できるのです。)の日に、各メディア向けの個人写真とチームの集合写真を撮影するのです。

 チーム関係者全員が一堂に会する数少ない機会です。選手の皆さんのユニフォーム姿を見ると何か、僕達の気持ちも引き締まります。やはり、ユニフォーム姿の選手はカッコいいですねぇ。下の写真は、グラウンド上での全体写真撮影の1シーンです。一部の外国人選手を除いたチームのユニフォーム組が全員集合です。なかなか壮観でしたよ。

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 さあ、キャンプイン。野球シーズンの到来です。オリックスの場合、一軍は沖縄・宮古島、二軍は高知でキャンプに入ります。厳しい1ヶ月間の長期練習が待っています。とことん、野球に向き合う期間がキャンプなのです。最下位からの逆襲にむけて、大型補強も敢行したオリックスが動き始めます。楽しみですね。

 ところで、左ひざ手術からの復活を目指す清原選手も2月1日から高知の二軍キャンプに参加します。ひざの回復具合も順調のようで、明るい表情が印象的でした。詳報はオリックス・バファローズ公式HPをご覧ください。僕が記事を書いています。それにしても、3週間におよぶハワイでの自主トレのせいで、清原選手の顔はキャンプ前から真っ黒でしたよ。

 プロ野球12球団のキャンプ地の分布を見ると、沖縄と宮崎に集中していて、巨人、ソフトバンク、西武を除く9球団が沖縄に集中するという、2月の沖縄はまさにキャンプ銀座と化すわけです。近年、沖縄本島では新しい立派な球場が続々と建設され、地元の誘致活動も奏効したようです。確かに2月の平均気温が16℃を超え、晴れた日には最高気温が25℃にもなる沖縄はスプリングトレーニングには最適で、選手達の評判も「暖かいと体を動かしやすいので、調整も進みます」などと上々です。そんな沖縄のキャンプ地としての欠点は「雨」です。亜熱帯に属するこの地方にとって2月は雨季にあたり、平均の月間降水量は125ミリを超え、90ミリにも満たない宮崎と比べると、やはり多雨なんですね。


 2月のキャンプ地がいいお天気でありますように!ついでに、全国的にも・・・。

 雨は大敵!プロ野球のキャンプにも、そして近所の道路工事にも・・・・。

 


 

 

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つれづれscene41:変えられるか、大阪・・・。
2008-01-27 Sun 23:41
 大阪府の新しい知事にタレントで弁護士の橋下徹氏(38)が初当選を果たしました。若さと抜群の知名度で大阪再生の担い手に選ばれたのです。「必要なものはやってゆくし、無駄なものは省く。府の職員にも汗をかいてもらう。エネルギーと爆発力で大阪を変える!」と演説で力を込めた橋下さん。さて、大阪をどう変えてくれるのか、楽しみです。選挙戦では勝ったけど、これからが本当の勝負なんですよ。本当に額に汗して頑張って欲しいなぁ。

 ところで、大阪のイメージって・・・。東京から関西にやって来て1年にも満たない知人に訊いてみました。予想はしていたものの、結果は惨憺たるもの・・・。

 大阪のイメージその1→街がキタナイ!
            *ごもっとも・・・。ごみや吸殻のポイ捨ては目に余る。
 大阪のイメージその2→お好み焼きとご飯を一緒に食べるなんてアンビリ‐バボ‐!
            *関西人すべてがそうじゃないよ!僕も食べないよ。
 大阪のイメージその3→もし子供が生まれて、関西弁をしゃべったらショック!
            *言葉は文化です。美しい関西弁もありますよ。
 大阪のイメージその4→ひったくりなど犯罪が多い。
            *確かに・・・。僕も被害者です。つれづれscene36ご参照を。
 大阪のイメージその5→「燃えるごみ」を「燃やすごみ」と役所が表記している。
            *それは西宮市だけでは・・・。うちは「燃えるごみ」です。
 大阪のイメージその6→甲子園球場は大阪にあるものと思っていた!
            *これは東京ディズニーランドが東京にあると思うのと同じかも。

 う~ん。大阪(関西)もなめられたものです。そもそも、任侠映画やお笑い番組に溢れる関西弁のイメージが悪すぎるんですよ、絶対・・・。そういえば、大学時代、岩手から出てきた友人が、「電車に乗ってたら、みんな漫才してるみたいに聞こえるんだ・・・」。時、折りしも漫才ブームの真っ只中。関西弁が笑いのツールとして捉えられていたようです。

 古くは、坂東と呼ばれ、都を中心とした畿内から遠く離れた辺境の地とされていた東国ですが、江戸に幕府が開かれてからは国の中心に君臨し、以降、上方(=大阪)はずっとセカンドビッゲストシティーに甘んじてきました。五十三の宿場町、距離にして僅か500キロの隔たりが、随分と文化や風習、もっと言えば人間の質までも違えてしまったのかも知れません。でも、それら違いに”格差”はないはずです。ただ、今、本当に大阪が他の地方に向かって胸張れる”モノ”、”事”があるかどうかは疑問なんですね。他所から見た大阪のイメージは僕達関西人が変えていかなくてはならないのでしょうね。言葉や食と言った文化の部分まで、とやかく言われる筋合いはないと思いますが・・・。

 話は戻って、180万票以上の支持を得て圧勝した橋下さん。引き締まった表情から、府政に取り組む真剣さが伝わってきます。大阪特有といわれる、”お笑い票”、”タレント票”だけで集まった数ではないはずです。前回よりも、大幅に上回った投票率が有権者の”本気度”を示しているのではないでしょうか。府民の切実な思いを受け止めて、マニフェストである「財政再建」にまず、どう対処されてゆくのかお手並み拝見です。また今回の選挙で、橋下さんを支持した有権者も、府政の行方をしっかり見届ける義務を全うしなければなりません。さもないと、「大阪人はまた、”シャレ”と”ノリ”だけで投票したんだ!」と、揶揄されてしまうんだから・・・。

 

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つれづれscene40:トヨタ!ナイスゲーム・・・。
2008-01-26 Sat 23:08
 国内のラグビーシーンはいよいよ深まって、国内最高レベルのトップリーグもいよいよ大詰めを迎えようとしています。今日は花園ラグビー場でお仕事でした。第一試合、コカ・コーラウエスト対NEC戦の実況と、第二試合のトヨタ自動車対東芝戦の勝利監督インタビューを担当しました。

 第二試合はしびれました!(勿論、実況した試合も好ゲームでしたが・・・)上位4強がこのあとのプレーオフトーナメントと日本選手権への出場権を手にするため、TOP4争いが激烈を極めているのですが、その渦中にある両チーム、トヨタと東芝の試合はキックオフからノーサイドまで熱かったです。

 僕はこの激戦を放送席の後ろでメモを取りながら観ていたのですが、実況している時よりも余裕があるせいか、より広い視野でゲームを観られるんですね。TV実況の場合、基本的にはモニターの映像にコメントをつけるというスタイルをとるためなのでしょうか。モニターの呪縛から解き放たれると、いろいろなものが見えてきて勉強になりますね。フォーメーションやベンチの様子など・・・。

 この試合で僕の目が追いかけていたのは、トヨタのベテランSOである廣瀬佳司選手。怪我の正面健司選手に代わっての久しぶりのスタメンでした。日本を代表するキッカーです。ブランクもあってか本来の調子ではなかったようでしたが、ドロップゴールに50メートル以上の長いペナルティーキック(いずれも失敗)には場内から大きなどよめきと拍手を呼んで、その存在感を大いに示していました。途中(後半20分)、ベンチに下がる際の表情を読む限り、自らのパフォーマンスに対する満足感は無かったような・・。砂を盛って、その上にボールをプレースする廣瀬選手独特の”儀式”が雰囲気あっていいんですねぇ。

 試合は体と体が激しくぶつかる消耗戦となりましたが、両者互いに譲らずの攻防。後半に入ってトヨタが逆転すると東芝が立て続けに2トライを奪って再逆転。残り10分からトヨタが粘ってまたまたゲームをひっくり返すという展開で、花園のスタンドもかなりヒートアップしていました。試合後のインタビューに向けてスタンバイをする僕にとっては、最後の最後までどちらの監督にインタビューをすればいいのか気持ちが落ち着きません。心の準備ってあるじゃないですか・・・。

 結局、トヨタの逆転勝利で石井龍司監督にマイクを向けさせていただいたのですが、「これで勝ち点47になりましたね」という僕の問いに「すみません。ポイント計算してませんでした」と石井監督。正直な心境だったのでしょうね。とにかく、今日の目の前の試合を獲ることに全力を注いだチームにとって、僕達メディアが好きな机上の計算とそこからはじき出される数字はそれほど大きな問題ではないのかも知れません。ただ、スポーツ報道的観点から言えば、あとひとつトヨタがトライを取れていたら、次なるステージ行きが決まっていたのですが・・・。さすがにそれは訊けませんでした。

 トヨタ対東芝の今日のゲームは両チームにとってアウェイとなる花園での試合。にもかかわらず、多くの観客がスタジアムに集まり、好ゲームに酔いしれていました。人気の地元チーム・神戸製鋼も、スタジアムのオーナー企業傘下にある近鉄も出ていない試合に大きな拍手が送られていたのです。ラグビーファンにとっては嬉しい光景でした。勿論、トヨタ自動車や東芝の企業努力による動員の効果が大きいことは分かっています。日本のラグビーがその基盤の過半(大部分)を企業に置く以上、企業による愛社精神発揚の手段として、ラグビーという熱いスポーツをもっと有効に使えればとも思いますし、そこに地域性がより鮮明に打ち出されるようになれば、とも思います。今日の試合は、企業的にも、地域的にも僕には縁のないチーム同士の対戦ではありましたが、内容の質の高さに心を動かされました。

 花園からの岐路、僕の車の前には何台もの大型バスが連なりながら走っていました。三河ナンバーのバスです。ボディーにはトヨタ自動車上郷工場の文字が・・・。恐るべし、世界規模企業の底力って感じです。遠路はるばるの応援、お疲れ様でした!

 さあ、ジャパンラグビートップリーグは次週、最終節を迎えます。僕は2月3日、花園での2試合の実況を担当します。

 この時期の週末恒例、ラグビーのお話でした・・・!
 



 
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つれづれscene39:継続は力なり・・・。
2008-01-25 Fri 23:59
 冷たい夜ですね。今しがた、明日の仕事の準備が終わって、ブログページに向かっています。「今日は、このブログお休みしよう」と心に決めていたのですが、やっぱり、書きます。

 
 僕のデスクの脇には、”背番号70”のその人がいつも笑っています。2005年2月のキャンプイン当日の写真です。仰木彬さん。オリックスと近鉄が合併して誕生したオリックス・バファローズの初代監督です。野球殿堂入りを果たされたその輝かしい経歴についてここでは触れませんが、極端にカラーを違える2つの球団の統合、そんな難件に自らの命を削りながら立ち向かわれた事こそ、仰木さんが球界に残された最後の足跡ではないでしょうか。

 生前の仰木監督には仕事柄、いろいろなお話を聞かせていただき、僕の中の貴重な経験となっているのですが、感銘を受けた多くの言葉の中からひとつ・・・。

 
 「プロ同士が戦う試合なんて、まずは勝ったり負けたりの5割の確率なんだよ。でも、5割じゃ優勝できない。そこから、1割分、勝ちを上積みさせるのが監督としての役目、そのために術を講じるのが僕の仕事。その術を、人はマジックって表現するのかな。そして、何より難しいのは勝ち続けること。”継続は力なり”って言うけど、その本当の意味は、”継続するには力が必要”ってことなんじゃないかな・・・」

 
 そんな仰木監督の言葉を思い出したら、こんなブログでも休むわけにはいかなくなったのです。続けないと・・・。今夜もサングラスのその人は、フレームの中で笑ってます。

 
 仰木流、”継続は力なり”の解釈、頷けませんか?
 
 
 明日は、ラグビー(実況)、花園です!


 




 
 
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つれづれscene38:高野山に降る雪
2008-01-24 Thu 23:52
 プロ野球のキャンプインも間近に迫って、いよいよ野球の話題で各メディアが賑やかになってきました。「球春、遠からじ」って感じです。でも今日の東京(仕事で東京にいたのです!)は寒かった・・・。
 
 いよいよ、明日1月25日、第80回選抜高校野球の出場36校が発表されますね。「春は選抜から!」という昔ながらのキャッチコピー通り、”センバツ”の文字が紙面に踊ると、野球シーズンの到来、つまりは春という季節を感じ始めるものです。明日はどの学校に朗報が届くのでしょうか?選手達や関係者の方々には今日の夜は長く感じられることでしょう。

 さて、今日はセンバツに纏わる、とてもせつなくやりきれない思い出話でも・・・。

 1990年1月31日、この日の近畿地方は凍りつくような寒さだったことを覚えています。62回目を迎えるセンバツ高校野球出場の32校が決まるその日、入社5年目のアナウンサーであった僕は数人のスタッフとともに、近畿代表の1校に選ばれるであろう高校に取材に出かけました。車で2時間くらい走ると、そこは一面の雪。霊場・高野山の麓です。雪は止む気配も無く、ゆっくりと高野山の頂き近くにあるその学校を目指しました。和歌山県の高野山高校です。徐行に徐行を重ねての雪中行軍でした。


 午後、高野山高校の校長室で僕達取材陣は、朗報を届けるはずの電話のベルを固唾を飲んで待っていました。選考委員会からの連絡待ちです。校長先生と野球部の鈴木道雄監督の喜びの瞬間を捉えようとカメラは狙っていましたし、僕はというと当然、監督にインタビューするつもりで待機していました。同じ時間、野球部の生徒達は、”甲子園行き”を信じながら、体育館で練習に励んでいたのです。心ここにあらずって心境だったでしょう。みんなが「その時」を待っていたのです。


 予定の時刻を過ぎても、電話は鳴りません。それまでの笑い声の混じる和やかな雰囲気は消え、校長室はなんともいえない微妙な空気に包まれてゆきました。結局、電話は鳴りませんでした。朗報届かず、雪の高野山に春の知らせは運ばれてきませんでした。「皆様、ご足労をおかけしました。申し訳ありません!」と報道陣に深々と頭を下げた校長先生と監督の言葉と表情は今でも忘れられません。

 そして、もっと辛かったのは選抜出場が叶わなかったという事実を知らされた野球部員たちを見た時です。ただうつむいて、声もあげずに涙する生徒達。喜びの声、表情を取材するためにやって来たのに・・・。帰り道、雪はさらに深くなって、気持ちも沈んで、ホント切なかった・・・。


 選抜高校野球はその名の通り、大会主催新聞社と高校野球連盟とが選考委員会を開き、前年秋の各地区大会の成績や地域性、学校の品格等も考慮されて、出場校を選び抜くもので、夏の選手権大会のように地区予選優勝チーム=甲子園という明確な基準が無いのも事実です。したがって、度々、出場校の是非を巡って物議を醸すこともあるようです。

 
 事実、あの年の高野山高校は、前年の秋季近畿大会の成績や地域性を考えれば、選抜大会に出場していてもおかしくありませんでした。その年、近畿からは、近大附属、北陽、川西緑台、神戸弘陵、天理、智弁、北嵯峨の7校が選ばれたのですが、大阪、兵庫、奈良から2校が選ばれたために、和歌山、滋賀からの出場は無かったのです。地域性無視の選考と指摘されても仕方ありません。

 
 明日の選考発表では、あの時のような「何故?」という悲劇が起こらないことを、願って止みません。


 今頃、高野山は雪なのでしょうか・・・。あの時の、18年前の高野山の雪を、今年も思い出しています。
 きっと、積もってるんだろうな・・・。





 




 
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つれづれscene37:風のようにうたが流れていた
2008-01-23 Wed 23:59
 昨日はこのブログで愚痴ってしまいました。すみません!気を取り直して、今日は書きますね。そうです!音楽エッセイ第3弾「風のようにうたが流れていた」です。
 
 先日、CDショップでDVDを買いました。小田和正さんの4枚組DVD「風のようにうたが流れていた」です。3年前にTBSで放送された番組がDVD化されたものです。以前からとても気にはなっていたのですが、1万4千円を超える高価なモノでしたから、なかなか手を出せないでいたのです。しかし、意を決して購入に踏み切りました。

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 小田和正さんといえば、日本の音楽シーンを代表するアーチストであることは周知のとおりです。今更、ここで詳しく述べることは割愛しますが、シンガーとして、ソングライターとして、その豊かな才能と音楽性の奥の深さは、今なお小田さんがヒットメーカーであり続けていることを見れば容易に分かります。オフコース時代からTV出演を断り続けてきた小田さんのテレビ出演DVDということだけでも僕の心は躍りました。

 DVDにはライブ形式で行われた番組が収録されていて、小田さんの音楽観や交遊録、さらには日本で育まれた”歌謡曲”ではない新しい音楽の変遷が小田さん自身の言葉で語られています。60年代から70年代にかけて生まれた”フォークソング”は70年代の後半になって”ニューミュージック”という名で呼ばれるようになり、今やそ呼び名さえ風化してしまっている中、「自分達がやってきた音楽は、この先いったいどうなって、何処に行くのか?」というメッセージを小田さんは歌とトークで僕らに伝えてくれています。

 その昔、小田さんはオフコースというグループのリーダーでした。(オフコースは”Of Course”ではなく”Off Course”)その”道から逸れる”というグループ名のとおり、当時、日本の音楽界を席捲していた”フォーク”の本流からは少し違った音楽路線を走っているように、当時中学生だった僕は感じていました。レコードを聴けば、多重録音を駆使したハーモニーの美しさに感動し、いざ、演奏のまねごとをしようものなら、少し変な(?)コード進行に戸惑ったものでした。なによりも、あの透明感のある歌声は大きな魅力ですよね。五線譜の一番上にもう一本線を足した第6線のまだ上、Bのさらに上の音がファルセットではない声で出せるのですから驚きです。
 
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 結成当時、3人だったメンバーは2人になり、70年代おわりに5人に、そしてオリジナルメンバーだった鈴木康博さん(この人のギターも歌も大好きでした・・・)が抜けて4人になり、やがてソロになってゆく。その過程と心境の変化を、小田さんはこのDVDの中で、当時では語れなかったようなことも、「これも時の流れで、今となっては・・・」と悟ったように話してくれています。興味深い内容です。そもそも、ほとんど、トークのないのが、オフコースの、小田さんのコンサートでしたから・・・。2時間で20曲を歌いきる!って感じのコンサートが当たり前だったので、こんなに語ってくれる小田和正さんを観ているだけで嬉しくなってしまいます。

 実を言いますと、局アナ時代、僕は小田さんにインタビューしたことがあるのです。1988年、オフコースにとって最後のツアー「君住む街へ」の楽屋で、お話をさせていただきました。どんなお話をしたかは、不本意ながら全く記憶にないのですが、僕がオフコースの創生期からのファンであることを告げると、「へェ~、珍しいねぇ。そうなの」と言って笑ってくれたことと、自分の名刺の裏にボールペンでサインを書いて頂いたことを覚えています。(そのサインは、何処へいってしまったのやら・・・)そのインタビューから数ヵ月後、オフコースは解散したのでした。今また、お話が出来るのなら、どんなことを聞くんだろう・・・。想像もできません。


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 60年代、若者が自分達のメッセージを歌にすることによって誕生した”フォークソング”、それらが時と共に、醸成され”ニューミュージック”と呼ばれる、より高められた音楽性と演奏テクニックを有した音楽に昇華されてゆく過程を、時には息を飲みながら、時には胸を躍らせながら見聞きしてきた僕にとってとても興味深いDVDでした。それにしても、今は聞かれなくなった”ニューミュージック”というジャンル、いったい何処へいったのでしょうか。”J-POP”って言葉、ジャンルでカテゴライズされたくないなぁ・・・。

 齢五十を3年半後に迎える僕が35年近く聴き続けている音楽、その音楽を、還暦を過ぎた今も、第一線で続けておられる小田和正さん。その潤沢な才能とパワーにあらためて敬服しつつ、大きな勇気を貰えたような気がします。
 
 これまで「風のようにうたが流れていた」し、これからも「風のようにうたが流れてゆく」のかな・・・。きっと。
 
 とっても私的な音楽エッセイ・・・・。失礼しました・・・。






 


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つれづれscene36:ショック!
2008-01-22 Tue 23:22
 冷たい雨の音を聞きながら書いてます。今日は、本当なら、音楽エッセイ第3弾!「風のようにうたが流れていた」を書こうと、僕としては張り切っていたのですが、今回のタイトルでお分かりのように、テンション下がってます。今・・・。だから、予定変更。
 
 
 事件が発生しました。マンション横の駐車場に停めていた車がいたずらされてしまったのです。2年連続5回目です。今回の被害は、車のエンブレムを引っ剥がされるという悲しくも悔しいもので、その腹立たしさとショックで落ち込んでいます。エンブレムを剥がされた車が可愛そうで・・・。「エンブレムごときで・・・」とおっしゃるなかれ。それなりに価値があるエンブレムだからこそ盗まれるのです。前のフェンダー左右とトランクリッド左右の4箇所をやられました。今日未明の犯行だと思われます。昨年もちょうど今ごろの季節に、タイヤ&ホイール4本盗まれました。ブロックの上にむなしく乗っけられた車の痛々しかったこと。あー、思い出したくない・・・。
 
 被害届を書いてもらうために、今夜、地元の警察署に電話を入れました。10分後、3人の警察官が到着、実況検分のあと調書を取ってもらいました。これだけ頻繁に被害に会うと、警察への連絡や、警察官とのやり取りにも、不本意ながら慣れてしまいます。今夜来て下さった警察官は、リーダー格がひとり、若手ひとり、そしておそらく、いや絶対に新人の3人で、新人が書く調書、被害届を先輩2人が指導を交えながらチェックするという体制でした。僕の悲しい被害が研修に使われているみたいで何か変な気分でしたよ・・・。最後に「このあたりのパトロール、重点的に強化してくださいね」と懇願しておきました。ホント、頼みます!どなたか、盗難やいたずら防止に効果的なもの(こと)、ご存知ないでしょうか・・・・。
 
 明日、車のディーラーの方が、車を取りに来てくださいます。傷ついたボディーとエンブレムの修復作業をお願いしました。エンブレムは無くとも車は走る、のですが、車が趣味の人間にとって、エンブレムやウィンカーレンズひとつにもこだわりがあるものです。しばらく、ドック入りです。それにしても、幸いなことに以前このブログでもご紹介した旧車・クラシックラインへの被害・ダメージは一切ありませんでした。古い(=ボロイ)から興味ないのかな~。
 
 というわけで、テンション下がってます。僕のライフレベルも低いです。こんな時は、気分転換が必要ですね。卓球でもしようかな!(←なんでやねん!)

 本日は事件発生のため、予定していました(←少なくとも僕の中では、書こう!って決めてました!)音楽エッセイ第3弾!「風のようにうたが流れていた」を急遽とりやめ、別内容の記事とさせていただきました。ご了承ください!(誰も期待してないって?)音楽エッセイ第3弾!「風のようにうたが流れていた」は後日の掲載となります。どうぞ、ご期待くださいね。これだけアピールすると、読みたくなってきませんか!音楽エッセイ第3弾!「風のようにうたが流れていた」を・・・。(←もうええっ、ちゅうに!)

 いや~、ホント、ショックです!




 

 
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つれづれscene35:大寒!
2008-01-21 Mon 20:03
 今日は二十四節気の大寒。文字通り、一年で最も寒い時期を指すのですが、本当に寒い一日でした。昨夜降った雪の影響で、六甲の頂き付近は真っ白。僕の家がある北摂・池田の五月山でも薄っすらと雪化粧の朝となりました。
 今日僕が向かったのは、プロ野球、オリックス・バファローズの室内練習場。キャンプインまであと10日、選手達は今、自主トレの真っ最中です。中国道で宝塚を抜け、六甲山系の北を通るルートで、神戸市西区の練習場を目指したのですが、昨夜の雪で阪神高速北神戸線が通行止め。普段なら50分で着くのですが、迂回を余儀なくされた影響で所要時間は20分も余分にかかってしまいました。で、午後1時45分、着きました。オリックス・バファローズの合宿所・「青涛館(せいとうかん)」に隣接する室内練習場です。
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 入り口付近には、選手の出待ちをする熱心なファンがいらっしゃるんですね。平日なのに。合宿所周辺では選手達がランニングする姿も見られ、選手を間近に見るには好都合なのでしょう。僕が着いたときには、加藤康介投手、中山慎也投手がランニングで汗を流していました。ふたりとも期待のサウスポーです。頑張って!寮の事務所で新年の挨拶を済ませ(ここを訪れるのは今年初だったので・・・)、早速、室内練習場へ・・・・!
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 無人です。誰もいません。バットがボールを弾く快音が響いているものと期待したのですが・・。通りかかったスポーツニッポンの番記者さんに「皆はどうしたのですか?」と訊ねてみると、「ほぼ午前中でだいたい終わったみたいですよ。みんな、もうあがったり、ウェイトしたりで・・」そうでした。自主トレたるもの午前を中心に行われるのが普通です。不覚でした。確かに、練習場に、ちらほら選手の姿は見えるものの、バットを振ったり、ピッチングをしたりする選手は皆無です。また、出直します。さらに番記者さんは言いました。「午前中はイチローさんも練習されてましたよ」って。失敗でした。不覚にも程がありますよね。出直します。
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 仕方がないので、練習も終わって、すっかり片付けられたボールを写しました。でも、この空間に来ると、なんとはなしに、体も頭も、野球モードに変わります。もうすぐ、キャンプです。胸躍る球春が近づいてきます。楽しみです。
 それにしても、自主トレ取材は午前中、これ常識ですよね。失敗の一日、「寒すぎる」大寒でした。




 
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つれづれscene34:生駒颪
2008-01-20 Sun 21:17
 冬の花園は寒い、いや冷たいです。ピッチも、スタンドも、そしてバックヤードも・・。今日も僕の仕事場は花園ラグビー場、ジャパンラグビートップリーグの放送でした。季節風が吹きすさぶまさに冬のラグビー場って趣きです。
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 花園ラグビー場のバックスタンドの後方には、生駒の山が”凛”とした風情で聳えています。頂上付近が霞んでいるのは、雪か霙のせいでしょう。大阪平野と奈良盆地を隔てる標高642メートルの生駒山地の主峰です。この峰から吹き降ろす風は”生駒颪(おろし)”と呼ばれ、河内や大和地方の冬をより厳しいものにしています。今日も生駒の山の冷たい風が雨を運んで、ピッチの芝を濡らすコンディション。そう、冬の花園の風景です。 
 僕が実況を担当したのはサントリー対クボタ。熱戦でした。優勝を狙うサントリー、下位で苦しむクボタという構図のゲームでしたが、クボタがサントリーを苦しめました。ここまで大きく負けが先行しているクボタ、しかしながら強豪チームとの力の差は僅かです。何としてもトップリーグに残留し、来季以降の躍進を見たいものです。一方、苦しみながらも、しっかりと勝利したサントリーもさすが。拮抗する上位争い、残留に向けてのサバイバルと、残り2試合のトップリーグから目が離せませんね。
  ところで、今日の放送で解説をして下さったのは、元高校日本代表監督の川村幸治さん。関西のみならず日本ラグビーの強化に携わってこられた方です。今日の試合に出場していた選手の何人かは川村さんの指導を受けた経験があるはずです。サントリーの清宮監督が高校代表キャプテンを務めたときのコーチが川村さんで、「あの頃から素晴らしいキャプテンシーを発揮していたなぁ・・」と、いまや日本ラグビー界のリーダー的存在である名将の往時を偲んでいらっしゃいました。
 そんな川村さんが仰いました。「今日、褒めてあげたい選手がいるんや。クボタの赤塚君や。高校代表のメンバーだった彼には厳しく指導しましたから・・・。あの頃は、僕のこと嫌ってたんちゃうかな。でも、大学、社会人と進んで、ベテランになるにしたがって凄くいいプレイヤーになってる。嬉しいですよ。だから、今日は放送の中で、褒めてやりたいんや。ええやろ・・・・」今から16年前、高校ジャパンの赤塚少年(大阪工大高)をカナダ遠征に監督として率いたのが川村さんだったのです。
 かつては、布施工業高校でラグビー部監督だった川村さん、「打倒強豪校!」の大目標を立て、情熱を注ぎ込まれていました。そうです、そのグラウンドにも、今日のような”生駒颪”が吹きつけていたはずです。
 
 
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つれづれscene33:ラグビー日和~ホムスタ~
2008-01-19 Sat 16:55
 薄雲有れども、概ね好天。気温低くも、冬なら此れ当たり前。ラグビー日和です。今日はホームズスタジアム神戸でのジャパンラグビートップリーグ第11節、神戸製鋼対リコーの試合です!そうです、三宮から十二分の、あのホムスタです。(←1月13日のscene28をご参照ください)
午前11時、スタジアムに到着。今日は地下鉄ではなく車を使ったのですが、懸念された渋滞もなく、それにしても早すぎる到着です。キックオフまで2時間、それでも会場前のブースにはファンの姿がチラホラ、熱心なサポーターです。今日は放送ではなく取材で訪れたホムスタですが、そういえばいつもは裏の関係者受付を利用する僕にとって、正面入り口から見るスタジアムってどこか、新鮮に映ります。
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 スタジアムに入って、エレベータで5階まで。メインスタンドの中央上段にプレスシートが用意されています。ちなみに、いつも僕がお喋りをする実況ブースがあるのは記者席からは一段下のレベルである4階。放送席よりも、やや急な勾配に沿ってピッチを臨む記者席、僕が一番乗りでした。それにしても、ホムスタの中は寒い!冷たい!ほら、屋根は閉じた状態なのですが、今日みたいな日差しがあるときは、日光が恋しくなります。それでも無風は有り難いかも・・・。
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 いざ、記者席に腰を下ろしたところで、ピッチで練習が行われているわけでもなく、少し退屈です。BGMの「ロッキーのテーマ」が閉じた屋根に反響して、いい感じで耳に伝わってきます。仕方がないので、記者席のテーブルで明日の実況(花園でのサントリー対クボタ戦)に備えて資料のチェックを始めたのでした。そして気が付けば、両チームのメンバー発表が場内では始まりました。もう、キックオフまで30分じゃないですか・・・。いつのまにかプレス関係者も記者席に集まっています。あらま、明日の準備に熱中している間に、随分時間が過ぎてしまったようです。
  放送と関係のない日は、気が楽です。緊張感ゼロ。ぼんやり神戸製鋼のスタメンアナウンス(でも何故、DJ調のアナウンスなんだろう・・・。普通がいいなぁ。ラグビーだけは・・・。好みの問題です。すみません!)を半分聞き流していると、あれ、メンバー、随分変わっているじゃないですか。ちなみに、トップリーグのスタメンは試合の2日前に発表されるのですが、それさえ、今日の僕はノーチェック。放送がなければ、ホント緊張感ナッシング。あれ、ホラがスタメン?6節以来じゃない?(こういう記憶力?はある!)高倉に八ッ橋も出てる。よく見ると、先週のメンバーと比べると7人も変わってる。平尾マジック?でもなさそう・・・。先週いい働きをしたブラッキー、大橋はスタメン出場ですからね。
  試合が始まって、2分、ホラのトライ!「やっぱ、違うわ!」って感じ。ふと僕の斜め前に座った人が頭抱えてる。リコーの佐藤監督です。その存在に気付いてからは、なんか、僕の目はピッチより佐藤監督に釘付けです。幾度と出る溜息、机に顔を伏せること数度。それもそのはず、前半34分に神戸製鋼が大橋のトライで追加点を挙げるまでは、ボールポゼション、テリトリーともに、リコーが完全に押していた状態でしたから・・・。前半35分、悩める指揮官は、席を立ってロッカーへ移動されてゆきました。より深刻に懊悩する選手に檄ををとばすために・・・。その直後、神戸製鋼・高倉がトライ!ホラのキックもいい。リコーは苦しい13位。このままだと自動降格。バリバリのワラビー、ラーカム選手の加入が決まったばかりなのに・・・。
 ところで、今日のラグビー観戦、実に楽しいです。嘘です。本当は楽なんです。放送ではないラグビー観戦。このブログ書きながら観られるのですから。後半に入っても、ボールを支配してたのはリコー。3トライを返すも、神戸との差は縮まらずじまい。今、ノーサイドの笛が鳴りました。神戸製鋼の勝ち!それでは、記者会見場へ行ってきます・・・。
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 試合後の会見で、佐藤監督は、「前半の失点が痛すぎた。後半はプラン通りいけたのに・・」と唇を噛んだ表情が苦しげでした。自動降格だけは阻止しないと。「残り2試合、全力で戦うしかない」と振り絞った言葉を信じたいなぁ。頑張れ!リコー。僕のプリンターはエプソンだけど・・・。
  一方の神戸製鋼の平尾総監督、「後半、もたつきを感じたものの勝ち点5は素直に評価したい。SOにホラ?うちのスタイルではSOは難しいポジション。ただ彼が入ることによってディフェンスに厚みが出るし、4トライ獲るための起用です」と淡々。後藤キャプテンも「前のトヨタ戦は僕らのラグビーが全否定された感じだった。そこから上手く立て直すことができた。自分達のやろうとしたことが、少なくとも前半はできたし、明るい兆しではありますね」といつもながらの熱き口調、まさに気合は十二分でした。
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 さて、明日は、お仕事モードでラグビー場に出かけます!花園です。サントリー対クボタ戦です。キックオフは午後1時、その10分前からJSPORTS2でのオンエアー。解説は関西色たっぷりの川村幸治さんです。温かみのあるお話し口調、川村さんの解説、好きなんですよ。
  とっても、ラグビー日和な一日でした。




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つれづれscene32:「1.17」
2008-01-17 Thu 22:49
 あの日から13回目の「1.17」が巡って来ました。この日は僕の住む阪神間では特別な日であり、あの忌まわしい揺れと目を覆いたくなるばかりの瓦礫の光景は僕の記憶から消えることはありません。今日も、神戸を中心とした阪神間では6400名余りの魂を鎮める式典が行われました。各メディアのニュースが伝えた通りです。
  あの朝、神戸の事務所に向おうとしたものの、全ての交通機関が寸断されて身動きがとれず、電話も不通で、ただ為す術も無く、自宅近くの高台から遙か西の六甲山系の麓に目を遣ることしか出来なかったことを思い出します。あの時、冬の空に向って立ち上る幾筋もの煙の柱を遠くから眺めてました。あれから13年です。
 
 以降、日本は鳥取県西部地震、新潟県中越地震、能登半島地震、さらには新潟県中越沖地震と大地震に見舞われ続けています。幾重にも折り重なった断層の上、大陸のプレートの上に私達人間が住まう以上、悲しいかな、地震はこれからも避けては通れない災害です。
 
 鎮魂と防災への備え、これらふたつをあらためて心に刻む日が僕らの「1.17」なのです。
 
 今日午後、僕の携帯電話に一通の年賀メールが届きました。便りの主は13年前の震災で家を失った友人です。遅れて届いたわけではありません。「1.17」、この日こそ、年の区切りであり、新たな気持ちでスタートを切れる、そんな一年の始まりなのです。
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つれづれscene31:昭和の万葉びと
2008-01-16 Wed 21:04
 平成に入って20年も経つと、昭和という響きはどこか遠い郷愁を帯びて感じられるもの。昭和中期、高度経済成長の真っ只中に生まれ育った僕にとって、昭和はとてもヴァイタリティーに溢れた魅力ある時代でした。子供ながらに、本当にそう思っていましたし、今でもその思いは同じです。新幹線に高速道路、ふたつのオリンピック(東京と札幌)、さらには大阪万博と敗戦国日本が”戦後”にピリオドを打とうとした時代が、まさに僕にとっての昭和でした。無論、軍国主義に傾いた不幸な時代、何もかもが灰燼に帰し、全てが枯渇していた苦しい時代も確かに昭和だったのですが・・・。
 前置きが長くなってしまいました。そんな僕の知る昭和を、まさにその時代を映すCDを買ったのでご紹介いたしましょう。最近、様々なコンピレーションアルバムが発売されていますが、これこそ、まさに最強の昭和中期以降の日本歌謡史と言えるのでは・・・。
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 作詞家、阿久悠さんの作品集「人間万葉歌」です。昨年8月に逝去された稀代の天才作詞家の作品を集めたアルバムです。阿久悠さんが手掛けられた作品は5000曲にものぼるとされ、その中の珠玉の108曲が5枚のCDに収められています。なぜか、人間の煩悩の数と同じ108です。そのジャンルは演歌からアイドル歌謡、フォーク、ギャグソングにアニメ主題歌など多様です。まさに「万葉」です。
 万葉集といえばご承知のとおり、7~8世紀にかけて編纂されたという現存するわが国最古の歌集で、天皇、貴族の宮廷人から役人、防人や庶民までのあらゆる階級・身分の人間が詠んだ歌、4500首が収められています。阿久悠さんの場合はたったひとり。42年間で5000曲ですよ。まさに「万葉=よろずのことば」で昭和から平成という時代を彩られたわけですね。今、そのCDを聴きながらこの文章を書いていますが、僕の生きた昭和がスピーカーを通して、今に蘇っています。紅白歌合戦のトリを飾る壮大なメロディー、誰もが熱狂したアイドルの歌声、それらはすべて阿久悠さんの言葉で、詩で魂が込められているのです。
 「歌というのは不幸の、ちょい手前のね、切ない部分をどう書けるか、ということが僕は一番大切なことだと思うんです」と阿久悠さんが以前、テレビで語っておられたとか・・・。「不幸の手前」にひたすら共感したあの頃、そして、その「切なさ」を感じられることに「幸せ」な今。昭和と平成が同居する不思議な心地よさとでも言いましょうか・・・。
 万葉集の歌を大別すると、雑歌(宮廷の行事や神事、または自然を詠んだ歌)、相聞歌(男女感の恋愛を詠んだ歌)、そして挽歌(柩を挽く時、つまり人の死を詠んだ歌)の3つになると、かつて習いました。万葉の多くの歌に詠まれた無常観。「人の世は常ではないこと」に対する、怒りや悲しみ、絶望感を万葉びとは歌で表現しています。天才作詞家・阿久悠さんの世(命)も、常(永遠)ではありませんでした。昭和の万葉びと、阿久悠さんがご自分に贈った挽歌はどんな詩(うた)だったのでしょう。
 
 
  




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つれづれscene30:ボールパーク構想!
2008-01-15 Tue 20:17
 1月も半ばに差し掛かりました。プロ野球のキャンプインまであと2週間です。どっぷりラグビーモードから野球モードへと頭を徐々に切り替えていかなければなりません。毎年のことですがキャンプが始まればすぐにオープン戦、そして開幕と時は加速するかのように過ぎてゆきます。
 さて、今日は東京に来ています。野球関係やその他諸々のお仕事です。仕事の合間、少し時間があったので、久しぶりにある人を訪ねてみました。アポなしだったのですが、幸いその人はオフィスにいらっしゃいました。その人とはオリックス球団の元社長、岡添裕さんです。今はオリックスグループ某社の社長としてご活躍なのですが、失礼にもお約束も頂戴しないままの訪問でした。スミマセンでした!
 岡添さんが球団社長時代に、球団の理念に掲げられたのが「ボールパーク構想」です。岡添さんは、早くから「試合の勝ち負けだけではない、プラスアルファの楽しみをファンの皆さんに提供しなければならない」というお考えをお持ちで、まずは球場の美化と野球興行へのエンターティメント性の付加という事から着手されたのでした。「それには、まず本場アメリカの野球、そしてスタジアムへの視察!」ということで、僕も2度ほどアメリカへ同行させていただきました。オープンしたてのシアトルのセフコフィールドをはじめサンフランシスコ、ロス、サンディエゴ、アトランタ、ニューヨークなどメジャーだけではなくマイナーリーグのスタジアムまで見て回ったことを思い出します。何もかも新鮮だったなぁ。
 そんな視察の成果が、当時のグリーンスタジアム神戸でした。内野の天然芝化、今となっては当たり前のフィールドシートの設置、スタジアム売店の充実、様々なイベントやプレゼントなどなど。今、他球団が競うように、目の色変えて取り組んでいることを、21世紀の3~4年前に手掛けられていたのですから、その先見性や進取性には驚かされるばかりです。
 今は別のグループ会社に移られて、全く異業種の分野でご活躍なのですが、その社長室にはこんな写真が掲げられていました。
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 カクテル光線に映える天然芝、グラウンドに近いスタンド、神戸のボールパークです。一見しただけでは、そこがメジャーリーグのボールパークであるかのように勘違いしてしまいそうです。岡添さんが提唱したボールパーク構想の完成形がこの写真の中にあるのです。大輪の花火の左側には故・仰木彬監督、右側にはイチロー選手、それぞれのオートグラフが添えられています。「先週。イチローが訪ねて来てくれたよ」そう笑った岡添さんお視線の先には、イチロー選手との2ショットが少しばかり誇らしげに飾られていたのでした。
 「シーズン中は、とりあえず、大前が喋ってるんじゃないかと、野球中継、チェックしてるんだぞ!」有り難くも嬉しいお言葉です。また、今度ゆっくりご馳走でもして下さいね!
 今日のプレスリリースに京セラドーム大阪のビジョンが一新されることが記されていました。より進化した映像演出が可能になるそうです。今度は京セラドームのボールパーク化ですね!乞うご期待!









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つれづれscene29:星流苑!
2008-01-14 Mon 21:05
 夕刻の神戸・三宮は成人式帰りの着飾った集団やなんやらでごった返していました。阪急三宮駅の西口周辺、かつては僕の通勤路にもなっていたエリアなのですが、しばらくご無沙汰している間に随分の様変わり。少し驚きました。やたら派手に彩られた街並みの風景は、大阪の繁華街のそれと酷似していて、戸惑ってしまいました。神戸らしさがこのエリアからは失せているのが残念です。
 そもそも、僕が三宮に行ったのは食事をするため。以前から、「近いうち必ず伺います!」と言いながらなかなか行けないままでいたお店です。阪急の西口から山側(神戸の人は北の方角を山側、南を浜側、海側と表現します)に目を遣ると、すぐ、そのお店の看板が目に飛び込んできます。
星流苑

 焼肉レストラン、「神戸・星流苑」です。エレベーターでビルの5階に上がると、そのフロアすべてがそのお店になっています。店舗面積220平方メートルの和風モダンなお洒落な雰囲気で82の客席と個室が完備されています。なんか、グルメガイドの原稿を書いているような気分にもなりますが、続けますと、この「星流苑」は”地産地消”をモットーに、神戸牛は勿論、淡路の玉葱、明石のたこ、丹波産コシヒカリなど、地元・兵庫の材料を生産者から直接仕入れ、地元の素材を地元で提供してくれるのです。勿論、食した感想は、☆☆☆です。もう、ほんとに「神戸グルメMAP」状態です・・・。
 美味しく食べる僕の傍らに立つ人が・・・。この方です。
綾城さん

 お分かりになりましたでしょうか?綾城高志さんです。ちょっと、写真が暗いかな・・・。ラグビーファンならご存知でしょう!ラグビー高校日本代表第8回海外遠征メンバーで、同志社大学の選手権3連覇に貢献し、さらには神戸製鋼7連覇時代の不動のフルバック、その人です。JSPORTSのラグビー中継では僕と一緒に放送席に座ってくださることが多く、神戸製鋼コベルコスティーラーズのテクニカルアドバイザーとして、取材などでもお世話になっているのですが、なぜここに?という疑問をお持ちでしょう。実は、綾城さんの本業はこちらなんですね。現在、会社の会長としても頑張っていらっしゃいます。
 綾城さんは競争の激化やBSE問題などで業績が悪化し経営破綻した大同門の再建に取り組んでおられる最中で、経営破綻後としては新規店舗の出店は初めてなんだそうです。そのお店がこの「星流苑」なんです。綾城会長によると「ようやく新規出店できるところまできた。既存店をリニューアルしても飛躍的な収益の改善は難しい。この新店を成功させて多店舗展開を目指したい」(FujiSankei Business i 2007/12/9より)とのこと。今度は経済誌チックになってしまいました。話を戻します。
 綾城さんとは、ひとしきり昨日の神戸製鋼の敗戦や、大学選手権の1回戦で姿を消した同志社大学の今後など、ラグビー談義に花を咲かせたのでした。美味しいお肉と、楽しいお話。今宵「星流苑」での時間はあっという間に過ぎてゆきました。神戸・三宮の焼肉店「星流苑」、上質な空間と食材で、あなたも心と胃袋を癒してみてはいかがでしょう。スタッフの笑顔も素敵なお店です!ごちそうさまでした。
 帰路の三宮、時間が過ぎても無秩序な人混みと喧騒はそのままでした。
 
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つれづれscene28:気合い十ニ分!だったのですが・・・。
2008-01-13 Sun 21:39
 神戸製鋼にとっては冷たい風がより一層身に沁みた一日となったのではないでしょうか?ホームズスタジアム神戸でのジャパンラグビートップリーグ、神戸製鋼対トヨタ自動車戦は予想外の大差がついたゲームになりました。昨日このブログで、”負けられない試合”とご紹介した試合がこのような結果になるなんて。う~ん・・・。今日もラグビーのお話です。
 僕はこのゲームの実況を担当したのですが、試合前の中継スタッフミーティングでも、「両チームにとって重要な試合。特に神戸にとっては、この試合を獲るとプレーオフ進出に大きく前進するのでモチベーションは高いはず。むしろ、この試合のあとに強敵との対戦を残しているトヨタのほうが実は崖っぷちに立たされているという背景を見据えて、中継番組を作りましょう!」と話し合っていたのですが。ただ、解説の藤島大さんだけは、「神戸が勝つなら接戦、トヨタが勝つと差が開くかも」と予想されていました。結果はその予想の後者になったのです。さすが!
 それにしても、今日のトヨタの出来は素晴らしいのひと言。おそらく今シーズンのベストパフォーマンスだったのではないでしょうか。フォワード戦でも優勢を保ち続け、バックスがボールを動かし始めると、多彩な選手が面白いようにピッチを駆け回りました。今日のようなゲームが出来れば、終盤のサントリー、東芝との戦いでも十分に勝機はありそうです。今後のトヨタの戦いぶりも要チェックです。
 一方の神戸製鋼ですが、平尾総監督の「借りてきたネコみたいだった。自分達のやりたいことが全くできなかった」というコメントが全てを物語っていますよね。しかしながら、残り3試合は神戸製鋼にとって比較的組みしやすい相手との対戦です。ここでしっかり勝ち点5ずつを重ねていけば、上位4強の可能性も高まります。ラストスパートに期待しましょう!
 ところで競技場に向かう途中の地下鉄・三宮駅でこんなポスターを見つけました。
神戸製鋼ポスター

 神戸製鋼の試合を告知する駅貼りポスターです。平尾総監督と後藤キャプテンの凛々しい表情に添えられたコピーが素敵です。確かに、地下鉄に乗れば三宮からスタジアムの最寄り駅である御崎公園までは12分ですし、今日のゲームに入る選手達の表情からは、十二分の気合いも伝わってきました。ポスターに嘘はありません。見事なキャッチコピーです。ホームズスタジアムでは19日も神戸製鋼対リコーの試合が組まれています。どうか、皆さんも三宮から12分間、神戸市営地下鉄海岸線に揺られてみては・・・。競技場では熱い気合が伝わってくるはずです。鉄人たちの戦いはまだ続きます!

<追記>今季、神戸製鋼の成績はここまで7勝4敗です。今季僕が神戸製鋼の試合を実況した際の成績は1勝4敗。つまり、負けた試合の中継映像には全て僕の声が乗っているということ。何か気になります。ただ、4年前の優勝決定試合の実況も僕だったことを、あわせて記しておきます。それにしても、何か気持ち悪いなぁ。神戸製鋼の皆さん!ファンの皆さん!一緒に頑張りましょう!
 
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つれづれscene27:負けられない一戦
2008-01-12 Sat 23:17
 雨の中の早慶決戦を見ながら、明日の実況のため資料作りをするうちに時間が過ぎてゆきました。早稲田も簡単には勝てなかったようですね。負ければ終わりの学生スポーツですから、目前の勝利に対する執着は相当なものであることは容易に想像できるのですが、大学選手権のファイナルも選手達の想いが詰まった一戦だったに違いありません。明日、僕が実況を担当するジャパンラグビートップリーグ・神戸製鋼対トヨタ自動車の試合もお互いが負けられないガチンコ勝負となりそうで、勝利への拘りという点で、学生達のそれと何ら変わりはないはずです。負ければ、プレーオフトーナメントへの道が大きく遠のくだけに、激しい試合が予想されます。楽しみです。
 さて、トヨタのデータを調べているうちに、ふと5年前の試合のことを思い出しました。2003年1月5日の瑞穂競技場で行われた、トヨタ自動車対ワールドの激戦です。ラグビーファンの方ならきっと覚えていらっしゃるのではないでしょうか?この試合に勝ったチームがその年の秋に発足、開幕するジャパンラグビートップに参入できるという大一番だったのです。逆に負ければ、地域リーグでの試合を余儀なくされるという試合、まさに生きるか死ぬか、天国か地獄かという戦いでした。この年、日本のラグビー界は大きな変革期を迎えようとしていました。地域の枠を取り除いた全国規模のトップリーグの立ち上げを控えていたのです。日本ラグビーの振興と強化を目的とした、いわば乾坤一擲の大変革が企てられていたのです。
 第55回全国社会人大会のプールCに入っていたトヨタとワールドはそれぞれ、同じプールのNECとリコーに敗れ、0勝2敗でその戦いを迎えました。ともに決勝トーナメント進出の夢は破れ、この試合の意義は、トップリーグに参入できるか否か、その一点だけでした。その日、その時間、僕は花園で高校ラグビーの準決勝第2試合の実況を担当していました。啓光学園対大阪工大の熱戦でした。花園が啓光学園の劇的な逆転勝利に沸き返る頃、瑞穂でも、すでに明暗が分かれていたのです。
 実はこのトヨタ対ワールドの一戦は録画で深夜に放送されました。勿論、JSPORTSで・・。その実況を担当したのが僕でした。瑞穂で収録したVTRをスタッフが東京に持ち帰り、花園での実況を終えた僕が、そのまま新幹線で東京に向かうというものでした。放送は深夜0時からだったのですが、目の前のモニターに映し出される映像に対して僕が実況を入れるというもので、僕は昼間の結果を知らない状態で喋ったのです。この時は、解説なしの一人喋りでしたよ。しかも、映像はカメラ1台で収録したもの。シンプルな構成でしょ。なにしろ急遽決まった放送だったので・・・。
 前半終わって20対0、トヨタがリード。広瀬のキックが冴えていました。当然試合の流れからトヨタがこのまま勝利するのかと思いきや、なんと後半風上にたったワールドが逆襲をしかけます。20対20の同点として迎えた35分、ワールドのFB福岡がフィールド中央からドロップゴールを決めて逆転。結局このキックによる3点が勝敗を分けたのでした。両チームにとって負けられない試合。大事にボールをキープするために、展開よりも近場の突破を図り、トライよりも確実にスコアするペナルティーゴールを狙うという、負けないためのゲーム運びを両チームは選択し、当然接点での当たりも激しさを極めていました。ある種、負ければ終わりという試合の中で、”大人”が見せた勝利への執着、それは見るものを惹きつける十分な魅力を持っていました。小さな放送ブースで、たった独りで熱く喋った5年前の放送です。
 昼間見た大学選手権での勝つことへの拘りとその努力に感じ入りながら、5年前の”負けられない一戦”をふと思い出したのでした。さて、明日の神戸製鋼対トヨタ自動車、この試合も両チームにとって”勝たなければならない一戦”です。
 


 
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つれづれscene26:楽苦美な夜
2008-01-11 Fri 21:56
 およそ2週間ぶりにオリックスの球団事務所に顔を出しました。高校ラグビーが始まる直前の12月25日以来の球団事務所です。僕のデスク(一応あるのです)が2週間分の郵便物や何やらでゴチャゴチャでした。年末にはプチ大掃除したはずなのに・・・。まあ、机があっただけましでしょうか。17日ぶりでしたから・・・。
 勿論、打ち合わせや会議など仕事があったから球団事務所に顔を出したのですが、もうひとつの用件は、内輪での新年会でありました。で、行ったお店が下の写真です。
s-楽苦美

 少し読みにくいかもしれませんが、お店の屋号は「楽苦美」。決して右横の「駐車ご遠慮下さい」がお店の名前ではありません!(わかってるって?)そう、ラグビーの当て字で”楽苦美”なんです。なんか林敏之さんのブログタイトルみたいですが・・・。この楽苦美、おいしい魚や鍋を食べさせてくれるお店で、マスター自らが選りすぐったこだわりの食材がとても新鮮で美味なんです。結構、店内は広くて、大人数での宴会も可能なのですが、なにせマスターと女性店員さん、お二人だけで切盛りされているのですから驚きです。店内にはこんなものが・・・。
s-1月11日忘年会けいこう&ぎょうせい

 ラグビーチームのペナントです。これらはほんの一例で、店内には、高校、大学、クラブチームのペナントが数多く飾られています。そうなんです、ここのマスターが根っからのラグビーファンなのです。今でもご自身、クラブチームでフッカーとして活躍されているのだそうです。さらに驚いたことには、このお店で働く女性がこれまたラガーウーマンで、聞いてみるとポジションはスクラムハーフとのこと。そりゃ、お店での動きも俊敏なはずですよね。なんとなく、顔も田中史朗(三洋電機ワイルドナイツのスクラムハーフ)に似ているような・・・。(←これ褒め言葉ですから、誤解の無いようにお願いしますね!)ひとしきり、マスターと先日の高校ラグビーの話で盛り上がってしまいました。「いやぁ、今年の決勝はいい試合やった。しかし、九州のレベルはここ数年上がってきてるわ。大阪勢もうかうかしてられへんわ!」とマスター。そういえば、今回の高校ラグビーでは、大阪勢3校はベスト8に残れませんでした。大阪勢がベスト8に入らなかったのは実に20大会ぶりのこと。額の中の2校にも期待したいですね。
 ところで、今日は球団メンバーとの食事会なのに、またまたラグビー話になってしまいました。球団代表すみません!この季節、なかなか野球モードにはなれない僕です。もうすぐキャンプなのに・・・。おいしい食事と、ラグビー話。愉快な週末の夜でした!
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つれづれscene25:商売繁盛!笹持って来い!
2008-01-10 Thu 22:02
 年があらたまってはや10日。もう1年の36分の1が過ぎたと思うと、あまりにも速すぎる時の流れですよね。さて、今日10日は本えびす。商売の神様として親しまれている”えべっさん”にこの1年商売繁盛をお願いする人でおおいに賑わいます。僕は昨日の宵えびすに行ってきました。聞くところによれば、関東ではあまり盛んな風習ではないそうですね。
s-えべっさん 鳥居

 上の写真は西宮神社の表大門の鳥居です。夜7時前というのに多くの参拝客でなかなか前へ進めませんでした。西宮神社といえば、全国に約3500社あるえびす神社の総本社として知られ、関西では「西宮のえべっさん」として親しまれています。沿道には多くの屋台が軒を連ね、周辺道路は車両の通行が規制され、一部、歩行者天国(あの混みようは天国とは言えないかな)となっていました。普段歩くことの出来ない車道の真ん中を歩けるのは、なんとも心地よかったりして・・・。普段なら鳥居をくぐって、表大門から本殿までは2百数十メートルで、3分もあれば辿り着くのですが、何せ多くの参拝客ですから、僅かな距離でも10分以上かかってしまいました。
 本殿前に着くと、福娘さんが売る笹を求めて列に並びます。できれば、より美しい福娘さんから笹を買い求めようと列を探すのですが、そんな選り好みをしている余裕はありません。とりあえず、比較的空いている列に身を置くのが正解です。「こちら笹でございます!」といかにも福々しい笑顔で手渡されますと、ちょっと嬉しい気持ちになります。マニュアルで決められたコンビニの店員さんによる乾いた口調の「またお越し下さいませ!」の常套句より、なんか気持ちがこもっているみたいで嬉しかったなぁ。でもあの笑顔も、マニュアル通りなのかも・・・。
 笹を買って、いざ帰路へ!向かった出口に当たる南門の近くで、凄いもの、見つけました。
s-えべっさん お化け屋敷

 ”怨めしや~”、えべっさんにお化け屋敷かよ!究極のミスマッチだと思いませんか?2008年が商売繁盛でありますように!パチ、パチ。
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つれづれscene24:プチ燃え尽き症候群?
2008-01-09 Wed 23:35
 昨日はこのブログを更新しませんでした。いや、できませんでした。高校ラグビーが終わって僕にも訪れた、”プチ燃え尽き症候群”。正直、ホッとしましたから・・・。何年も、何度も携わっているお仕事でも緊張はするものです。昨日は、体が睡眠を欲していましたから。こんな風に、少し気が緩んだ時に、風邪を引くものです。用心用心。
 さて、僕がブログを怠っているうちに、有り難くもこの”徒然歳時記”をお読みくださった方からコメントを頂戴しました。チロルさん、リップマンさん、有難うございました。お二人とも、この年末年始に高校ラグビーをJSPORTSでご覧頂いていたようで、これらコメントは、放送に関わる者として嬉しい限りで大きな励みになるものです。おかげさまで、先月の半ばにスタートしたこの”徒然歳時記”も、少しずつではありますが、お読みくださる方が増えてきたようです。特に高校ラグビー期間中は多くの方にお読み頂きました。重ねて御礼申し上げます。 
 僕がJSPORTS高校ラグビー中継に関わり始めたのは2001年の第81回大会から。記憶によれば、あの時は確か、中継は第1グラウンドの試合だけだったような。その年の大会で印象に残っているのは、1回戦の香川・坂出工業対富山工業です。僕が実況を担当したのですが、47都道府県の代表校の中で唯一未勝利だった香川県勢、その代表である坂出工業が勝利した試合でした。「坂出工業勝ちました!香川県勢、花園初勝利!歴史的勝利です」と実況した言葉を今でも鮮明に覚えています。あとは啓光学園対東福岡の決勝戦。僕は、ピッチレベルからのリポートを担当しました。実況は土居壮さんだったかな?ピッチサイドの冷たさと、タッチラインの内側で発せられる熱の温度差を感じながらのリポートでした。優勝監督・啓光学園の記虎監督へのインタビューもさせて頂いたのですが、あの時の記虎監督の言葉は残念ながら僕の記憶の外ですが、監督の涙混じりの笑顔は今でも忘れられません。そこから、啓光学園は花園4連覇を成し遂げるわけですね。いやぁ、昔話になってしましました。高校ラグビーを語りだすとお話は尽きませんね。
 さて、今日の最後はチロルさんから頂戴したコメントについて、この場をお借りしてお返事を!僕が秋川雅文さんに似てるですって・・・?そうですかね。歌のモノマネはできるかも。僕もテノールです。顔についてははっきり言って”濃い”ほうなので、ヒゲを剃った尾崎紀世彦さん、逆に言えば、僕がヒゲを蓄えれば尾崎紀世彦さんって言われることはしばしばです。あと、ジャケットのこと誉めてもらって嬉しかったなぁ。実況では一瞬ですが、出演者顔出しがありますので、着るものには気を配りますね。チロルさんがおっしゃったグリーンのジャケット、僕も気に入ってるんですよ。でもABC(朝日放送)のY部長や、GAORAのY常務には「大前ちゃん、派手やな~!」って言われました。う~ん。
 今週末は、ラグビートップリーグ、神戸製鋼対トヨタ自動車の実況で、ホームズスタジアム神戸からの中継です。トップリーグもいよいよ終盤、このカードも注目すべき一戦です。是非、ご覧くださいね。どの服着ようかな・・・。そう言えば、野球も間もなくキャンプイン(2月1日から)、頭の中も、ラグビー100%から少しずつ切り替えて行かなければなりません。でも、しばらくは高校ラグビーの余韻に浸りながら、ラグビーモードは”Play On!”です。
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つれづれscene23:悲願達成!
2008-01-07 Mon 21:07
 年末から年始にかけての熱い戦い、第87回全国高校ラグビー大会は東福岡高校の優勝で幕を閉じました。東福岡と伏見工業の顔合わせとなった今日の決勝戦はファイナルに相応しい素晴らしいゲームとなりました。5点差の攻防で、後半の10分は伏見工業が攻め続け、東福岡が必死のディフェンスで抗うという展開。東福岡が守り切って勝利を収めました。4度目の決勝進出で悲願の初優勝です。伏見工業も“不利”と囁かれた予想を覆しての戦いを見せてくれました。両チームに心から拍手を贈りたいと思います。
 多くのタレントを揃え、大会前から優勝候補の筆頭に挙げられていた東福岡、評判どおり素晴らしいチームでした。「決勝戦は楽しんだ方が勝ち!」と東福岡・谷崎監督はいつものように試合前は話してくれたのですが、勝利の瞬間は大きく両手を突き上げ、喜びを爆発させていらっしゃいました。涙交じりにインタビューでは、「子供達がよくタックルしてくれました。ありがとう、と言いたい。昂大(山下キャプテン)たちがよく頑張ってくれました!」と。監督就任25年目の谷崎監督は過去3度、この決勝で敗れました。啓光学園に2度、東海大仰星に1度往く手を阻まれました。4度目の挑戦で叶った日本一です。試合前には「伏見工業に対しては、リスペクトを持って試合に入りたい。そうでないと立ち上がりにやられてしまう」との谷崎監督の言葉どおり、先制して試合の主導権を掌握できたことと、「ラグビーはディフェンス9割」という監督の持論そのままの鉄壁の守りで、伏見工業の終盤の怒涛の攻めを防ぎ切ったことが最大の勝因だったように思えました。大会前、レギュラーの広木選手が事故でなくなるという悲しみを乗り越えての全国制覇。「彼も一緒に戦ってくれたんですよ。16人で戦っていたんじゃないですか」と見えない力、支えにも感謝の念を送った監督の言葉にも胸を打たれました。普段は飄々として少しドライな雰囲気を醸し出す谷崎監督の素顔を見たように思います。お疲れ様でした。
 一方、破れた伏見工業、ホント素晴らしいゲームを見せてくれました。結果的にはナンバーワンにはなれませんでしたが、一等賞を目指す志の強さと、ラグビーという競技に身を捧げたひたむきさは決して勝者のそれらに劣るものではなかったはずです。「京都の子供達が京都の学校でラグビーに励む。僕達は全国の公立高校の代表としての使命感を持って戦うんです。公立高校の可能性を示したい」そう語ってくれた高崎監督の言葉も重く響きます。また山口総監督の「勝つための努力を学び、教えることに勝る教育はないんです」の言葉にも心揺さぶられる思いです。
 様々な思いを抱き、責任を背負って戦ったのは、今日の決勝戦を戦った2校の選手だけではないはずです。だから、僕らも高校ラグビーに熱くなれるのかも知れません。第87回の全国大会が幕を閉じました。もう、敵も味方もありません。本当のノーサイドです。
 
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 激戦の舞台となった聖地・花園。誰も居なくなったスタンドと、激戦で、あんなにふかふかだった芝も随分と傷んでしまいました。”つわものどもの夢のあと”です。
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つれづれscene22:決勝前夜
2008-01-06 Sun 20:49
 高校ラグビー、いよいよ明日は決勝戦です。実況を担当する僕は明日の決勝で戦う東福岡高校と伏見工業高校の練習を取材しました。朝から穏やかな冬晴れで、このお天気が明日も続けばいいのですが・・・。
 最初に訪れたのは東福岡高校の練習する神戸市の灘浜グラウンド。そう、神戸製鋼の練習グラウンドです。朝10時過ぎからスタートした東福岡の練習は、終始リラックスムードの中で行われました。1時間半ほどの軽めのメニューで、明日の決勝に備えていました。過去に三度、ファイナルに進んだことのある東福岡ですが、まだ優勝はありません。啓光学園に二度、そして昨年は東海大仰星の前に、頂点への行く手を阻まれています。さあ、今回はどうでしょう。谷崎監督は「この過酷な2週間(高校ラグビー期間)を耐えるために1年間、頑張ってきたわけですから。明日は選手達がやってくれるでしょう。各自がそれぞれの責任とチームとしてのこだわりを全うできるよう、楽しんでプレイして欲しい。それだけです」といつもと変わらぬ笑顔で語って下さいました。充実の戦力が揃った今年の東福岡、悲願の初優勝まであとひとつです。フェニックス羽ばたくか・・・。
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 午後は伏見工業高校の取材です。神戸から一路、奈良までの移動です。車で40分、奈良女子大学付属中等部のグラウンドに到着しました。山口総監督の「このメンバーでの練習は今日で最後。この時期まで、同じメンバーでラグビーが出来る幸せを感じながら、最高の練習で締めくくってくれ!」の声で、午後2時、練習は始まりました。選手達の気合は十分、井口主将の号令のもと、張り詰めた空気の中での練習となりました。
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 練習後、伏見工業名物のジャージー渡しが行われました。明日の決勝のメンバーに背番号の入ったジャージーが手渡されるのです。メンバーから漏れた3年生がジャージーを渡してゆきます。「精一杯頑張れ」「悔いの無いように」などの言葉とともに渡されたジャージーの重みを出場選手は背負いながら明日は戦うのです。感動的なシーンです。
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 チームメイト、家族、学校関係者、それぞれの思いを託された選手達。彼らに高崎監督は言いました。「伏見のジャージーを身に着ける君らに託されたものは小さくない。使命感を持って戦って欲しい。伏見らしいラグビー、ひたむきなプレーを期待している!」と。2年ぶり5度目の優勝を目指す伏見工業、「強くて、大きい相手を本気にさせたい。そして慌てさせたいですね。佐賀工業も、桐蔭学園も、相手を本気にはさせたけれど、慌てさせることはできなかった。僕らはそこまで踏み込んでいかないと・・・」高崎監督の言葉が印象的でした。
 「ジャージーをもらった25人と、スタンドから一緒に戦う全ての部員の心がひとつになれば絶対勝てる!明日は60分間いっしょに闘おう!」井口主将の言葉も重いです。”信は力なり”。
 泣いても笑っても、明日が最後です。チームの伝統や風土、またそれに由来するチームカラーは全く違えども、ここまでの道のりで、流した汗、つくった傷の総和は両チーム、等しいはずです。ならば、気持ちと時の運で明暗は決するのでしょうか。いずれにしても、僕らは、その時を傍らで待つしかないようです。決戦前夜は、いつもの夜より長く感じられそうです。
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つれづれscene21:実況アナの準備(高校ラグビー篇)
2008-01-04 Fri 21:49
 このブログも20回を突破し、今日は第21話です。この時期、僕の主たる仕事がラグビーですので、ブログの内容も、どうしてもラグビー中心になってしまいます。2月に入って、プロ野球のキャンプが始まれば、話題も当然、そちらに移ってゆくのですが・・・。
 さて、明日、高校ラグビーは準決勝を迎えます。僕は伏見工業対長崎北陽台の試合の実況を担当するのですが、今日はその準備で一日を費やしました。スポーツ実況アナのお仕事といえば、目の前で起こる状況を適確に視聴者の皆様にお伝えする、この一点に尽きるわけですが、この一点をやり遂げるためには準備が必要です。この準備の仕方や方法は、アナウンサーによって様々です。今日は、僕の実況前の準備について・・・。高校ラグビー篇というとでご紹介いたしましょう。このブログの第12話でも少しお話しましたが、今回はその詳細を・・・。
①まず、対戦する学校とラグビー部の歴史について調べる。学生スポーツの場合は、伝統やヒストリーというのがとても大切なんです。
②そのチームの過去の戦績などのひととおりチェックします。優勝回数や、○年ぶり□回目のベスト4なんてことも必須項目です。
③次に選手の名前を覚える、という作業。これが厄介。特に1、2回戦は背番号と名前の暗記という無味乾燥な暗記作業です。これが準々決勝、準決勝、決勝と進んでくれば、名前と顔が次第に一致してくるので楽になってきます。選手たちにとって、TVで自分達の雄姿が映し出されるわけですから、その映像は一生の宝物ですよね。そこで、しっかり名前を言ってあげられれば、その価値はさらに高まるはずですよね・・・。これらの作業を助けてくれるのが下の写真にあるような参考文献です。
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④さらに、インターネットなどで、チームに関する情報を集めます。地方紙のHPなどは大きな情報源です。
⑤大会が進んでゆけば、前の試合のDVDで試合内容をチェックします。試合での戦い方を観れば、そのチームの特色も見えてきます。選手の顔も覚えられますし。実は、今こうやって、ブログを書きながらも、長崎北陽台の試合のDVDを見ています。
⑥そうやって調べた内容を、自分の書式で書き写してゆきます。このやり方って、ほんと千差万別、十人十色なんですね。僕の場合は、こんな感じになります。写真じゃわかりにくいかな? 
 
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 あとは、試合当日の取材を通して直前の情報や表情を集めるわけですが、いろいろ調べても、放送で実際に使うのは、半分くらいなんです。自分で作った資料を全部、放送で使うなんてことは、僕の場合はまず、ないですね。まあ、ある種「お守り」なのかもしれません。この試合の実況に向けて、十分な準備ができたという安心感なんでしょうね。さあ、準備もできました。高校ラグビー、明日は準決勝、お天気も良さそうです。
 
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つれづれscene20:「楽しむラグビー」とは・・・。
2008-01-03 Thu 21:51
 高校ラグビーはいよいよ準々決勝。8強の激突です。高校野球でもそうなのですが、トーナメント戦を観るのに一番面白いとされる4試合、今日の花園ラグビー場は多くの観衆で埋まりました。地元である大阪代表の3校が8強に入らないのは20年ぶりだということで、観客動員も心配されたのですが、それも杞憂に終わりました。ご覧の大観衆です。
1.3 ②

 そんな中で行われた4試合、どれもが素晴らしい戦いで、高校ラグビーの面白さを存分に堪能できるものでした。僕は、第3試合の東福岡対佐賀工業の九州対決の実況を担当したのですが、この試合もレベルの高い好ゲームでした。試合は奔放で自在なラグビーを展開する東福岡が佐賀工業を破ったのですが、その東福岡を倒すことに焦点を絞って、考え、研究した佐賀工業の頑張りにも感動させられました。
 今大会、Aシード校に指定された東福岡高校は勿論、優勝候補の筆頭でもあるのですが、今年は悲願の初優勝に向けて、あるんですよね。雰囲気が・・・。過去、3度決勝戦に進んだことのある東福岡ですが、いずれも大阪勢にその行く手を阻まれています。今年は、大阪の3校は姿を消しています。チャンス!ではないでしょうか。
 東福岡の谷崎重幸監督は、高校ラグビー界で名監督として知られています。取材でお話をうかがうたびにおっしゃる言葉があります。「選手達にはとにかく楽しんで欲しい!」いつも判で押したように返ってくる言葉です。そこで、今日の試合後、谷崎監督に聞いてみました。「先生はいつも子供達に楽しめ!とおっしゃいますが、それはどういう意味なんですか」と。監督はこう答えてくださいました。「間違えてはいけないのは、楽しむというのは、遊ぶことでもなければ、ましてや、ふざけることではない。それは”こだわる”ってことなんです。自分達が目指しているラグビーのスタイルにこだわって欲しい。そのスタイルを貫けたときは楽しいはずですよね。”こだわる”ことを楽しんで欲しいんです」蓋し名言です。東福岡のラグビーは相手のあらゆるスタイルに柔軟に対応できる、懐の深いそれなんですが、谷崎監督の言う”こだわり”が何なのかは、ゲームを見ていれば良く分かります。とにかく、ボールが動くんです。選手達が自在にピッチを駆け抜け、面白いようにパスがつながってゆく。「ボールが動けば観ている人も楽しいでしょ」そう言って笑った谷崎監督の視線は、あと2勝にまで迫った頂点に注がれているに違いありません。東福岡ラグビー、今年も最後まで楽しませてくれそうですね。
 ベスト4が出揃った高校ラグビー、各チームとも、頂点まではあとふたつ。クライマックスが近づいてきました。
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つれづれscene19:正月色何処に・・・。
2008-01-02 Wed 23:50
 僕が子供の頃のお正月三が日といえば、商店街のシャッターは閉まり、異様なほど静まりかえったアーケード街。それは正月の象徴的な風景であったのですが・・・。そう、お年玉をもらった子供達のために「○○模型店」「△△玩具店」なる、おもちゃ屋さんだけが、賑わっていたものです。ところが、昨今のお正月に見られる光景は随分と様変わりしましたね。百貨店やショッピングモールは、お正月の2日にもなれば、ほぼ例外なく営業され、福袋やバーゲン(最近はバーゲンという言葉もあまり使わないようで、クリアランスなんだそうです)目当ての人々で大賑わいです。かくいう僕も、自宅から程近い千里中央までショッピングに出かけました。まあ、人の多いこと。お正月の街をぶらぶらしながら気付いたことがいくつかありました。列挙しますと・・・・。
①晴れ着の女性が少ない。初詣の神社などでは見かけるのでしょうが・・・。
②お飾りのしめ縄をつけた車を、ほとんど見かけない。見つけると結構、うれしい。
③宮城道雄の「春の海」があまり聞こえてこない。この時期の定番なのに。
④凧揚げや独楽廻しはもはや、日本の伝統芸能になってしまったようだ。
⑤街中では、五感でお正月を殆ど感じないものの、家でTVを観れば、毎年相も変らぬ正月特番。実に面白くない。あれを観る人がいるのだろうか。TV業界だけは、今も昔も変わらずに、日本のお正月文化を大切にしているようです。
 う~ん、異教の文化、クリスマスにはあれほどみんな熱狂するのに・・。お正月っていったい・・・・。真冬のゴールデンウィークになってしまったのかな。そういえば、僕も、お雑煮を食べなくなって何年になるだろう。随分食べてないなぁ。今、こうやってブログを書きながら、ふと窓の外に目を遣ると、澄んだ空気の遥かむこうで揺れる町の灯り。北摂・五月山の丘にある僕の部屋からは、六甲の東端、神戸から西宮、その東の尼崎の夜景を望めるのですが、今日はとても遠くまでしかもクリアに目に映っています。工場が止まるお正月ならではの眺望です。
 さて、明日は、高校ラグビー準々決勝です。高校ラグビーを純粋に競技として観るなら、この準々決勝を観るべし、です。きっとレベルの高い熱戦が展開されるはずです。僕はその中の、第3試合、東福岡対佐賀工業の実況を担当します。半年前の九州大会決勝で対戦した両校(東福岡が19対17の僅差で勝利)ですが、花園という桧舞台でどんな試合を見せてくれるか注目です。
 オフの新年2日、殆どお正月の雰囲気を感じられずに過ごした一日でした。もう一度、昔味わった、あのお正月を取り戻すにはどうすればいいのいか・・・。おこづかい握り締めて、おもちゃ屋さんに、行ってみようかな。買ってしまうんだろうな、鉄道模型。
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つれづれscene18:熱い男ふたたび
2008-01-01 Tue 23:50
 新年のスタートとなった今日、僕は花園ラグビー場で過ごしました。仕事です。お正月をラグビー場で迎え、過ごすようになって何年くらいになるのでしょうか。もうすっかり「正月in花園」が僕の中ではごく当たり前の年中行事になっています。高校ラグビー、今日は3回戦でした。
 僕が担当した最初の試合は東福岡対大阪朝高の一戦。試合前、大阪朝高の練習を見に行くと、いつもの気合十分の光景です。その中で、選手を鼓舞するように声をかけていらっしゃったのが、先日、このブログでご紹介したキム・シンナムさん。今はキムさんの教え子であるオ・ヨンギルさんが監督をされているのですが、前監督の血が騒ぐのか、キムさんが直接、選手達に声をかけていらっしゃいました。僕の「おはようございます。あけましておめでとうございます!」という呑気極まりない挨拶に対し、にっこり微笑みながら、「今は、戦闘モードですので、のちほどゆっくりと」というキムさん。すみませんでした。ちょっとKYな僕でした。視線を選手達の動きに移した瞬間のキムさんの目は、ホント”戦闘モード”に変わっていました。熱い男、おそるべし・・・・。試合は東福岡が試合巧者振りを発揮、大阪朝高は敗れました。試合後のキムさんは”戦闘モード”が解除されていつもの、優しくも熱い指導者の顔に戻っていました。「今夜は3年生と保護者のみなさんと、慰労会です。実は、うちのぼうず(息子)が今日の試合に出ていてたんです(スタンドオフのキム・サンオ選手)。まだ2年なんで、来年にまた期待します」選手の皆さん、オ監督、お疲れ様でした。それにしても、東福岡強いです。
 ふたつ目の実況(青森北対伏見工業)を終えて、放送席から控室に戻る通路で、もうひとりの熱い男と出くわしました。四日市農芸の下村大介監督です。「先生、惜しかったですね、久我山戦は・・」と切り出しますと、「ホント、惜しかった。あの試合は・・・・」。僕のひと言が、下村先生の心に火をつけてしまったようでした。今すぐにでも、もう一度リベンジマッチをしたそうな口ぶりでした。でも、もう1回やれば、勝てるような気がするんです、僕も。「強豪校、シード校を倒すために、僕はチームを作るんです」下村先生の口癖です。来年も花園で待ってますね。キム・シンナムさん、下村大介さん、二人の熱い男の目は、すでに来年を見据えています。
 さて、おしまいは僕が今日感動した、キム・シンナムさんが試合後のロッカーで3年生に送った言葉をご紹介することにいたしましょう。「ラグビーでの勝ち負けを競う君達の高校生生活は終わるわけだが、これから進学して、あるいは社会に出てからの勝ち負けは、君達次第なんだ。これからが君達の本当の勝負なんだ。ここからが大切なんだ。お疲れさま」
 とても清々しい気持ちの新年、元日でした。
  
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| 大前一樹の徒然歳時記~つれづれダイアリー~ |